VRの基本構成(ハードウェア編)

VRの基本構成(ハードウェア編)

巷ではHMDが注目されていますが、VRの環境を構築するためには様々なハードウェアが必要となります。今回はVRの基本的なシステムを構築するためのハードウェアについて説明します。

  1. PC

何はともあれ、PCでが無ければ話になりません。最近はMacでもVRをできるようになってきていますがあまり一般的ではありません。LinuxでVR環境を構築する猛者もいるかもしれませんが、OSがWindowsのPCを選択するのが一般的です。なるべく最新のCPUと大容量のメモリがあれば問題ありません。大量のデータの読み込みを必要とするアプリケーション(60G以上)を利用するのであれば64bitのCPUが良いでしょう。メモリも8Gあれば問題ないと思います。何れにせよ重要となるのはグラフィックスボードです。

2.グラフィックスボード

CGを表示するためにはオンボード(マザーボードに備え付けのGPU)ではなく、別途グラフィックスボードを用いることをおすすめします。解像度が低い、画像更新速度が遅いグラフィックスボードはVR酔の原因となります(安物買いの銭失い)。グラフィックスボードは一番コストを掛けるべきパーツです。

例えば、NVIDIAのGPUを採用しているGeForce GTX 1060以上や、AMDのGPUを用いているFireGL  Pro W7000以上だと問題ないと思います。

一時期前はNVIDIA のQUADROシリーズは必須でしたが、今はゲーム用のグラフィックスボードの方がコストパフォーマンスが良いです。

ですので、一時期前まではデスクトップ型の筐体のPCが一般的でしたが、いまではゲーム用のノートPC(グラフィックスボードにGeForce GTX 1060以上が搭載されていること)でも十分に利用できます。

3.HMD

視覚提示系はHMDの利用が今は主流です。HTV VIVEOculusが選択肢に上がります。これらのHMDとPCの接続はHDMIやDisplayPortが必須です。グラフィックスボードの選定にはこれらの出力があるか調査すべきです。

4.空間センサ

一番悩ましいところです。HMDをかぶって左右に頭を振ったときに向いた方向の映像が表示されなければなりません。VIVEやOculusは6軸(左右上下方向の回転と前後左右上下の移動)を計測できますが、スマホを用いらHMDやOculusGOは3軸(回転のみ)なのでジャンプしたりしゃがんだりする動きの計測はできません。VIVEやOculusは外部に赤外線の発光装置+カメラのセンサがあり、HMDが反射する赤外線をカメラで計測して位置や方向を認識します。

5.入力デバイス

これも悩ましいところ。VIVEやOculus,Oculus Goには専用の入力デバイスがあります。ボタンやジョイスティックでVR空間の様々なイベントに対応できます。しかし、手の動き(掴んだり弾いたり摘んだり)はできません。

そこで、Leapmotionを手の位置や動きを計測するデバイスとして用いる方法があります。Oculusの前面にLeaomotionをテーブと固定し、「人間が作業をする時、ては顔の前にある」という前提のもと、Leaomotionで手の動きを認識させて入力とします。

また、同じく赤外線を用いたカメラではIntel RealSenceがあります。原理はMicrosoft Kinectと同じです。RealSenceをセンサとして用いた場合、RealSenceの前でのジェスチャは認識できますが、RealSenceで計測できない位置や遠方に立つと計測できません。

溶接や伝統工芸の熟練工の技能継承をVRを用いて行う場合には。それぞれの道具にセンサを取り付けて道具の位置や向きを計測しなければなりません。そのときにはOptitrakの赤外線センサが有用ですが、LeapnotionやRealSenceと比較して高価となります。

5.サウンド

音は非常に重要でVR空間に音がなかったらまさに「死の世界」です。立体音響を実装するライブラリとして、Stream AudioResonance Audioがあげられます。

6.大画面ディスプレイやスクリーン

視覚情報を提示するデバイスはHMDをだけとは限りません。大画面ディスプレイやスクリーンによる立体提示も有効な方法です。そのさいには立体視を実現するために3D映画館やテーマパークのアトラクションなどで用いられている液晶シャッターメガネか変更メガネが必要となります。メガネをかけて立体視を見る場合には別途頭の位置を計測するセンサが必要となります。大画面ディスプレイやスクリーンには一人にしかちゃんとした立体映像を提示できないので、センサを取り付けたメガネを被っている人の近くで見れば立体映像を見ることができます。

7.その他

VRは視覚、聴覚への提示系の他に手のひらによる触覚や風による皮膚感覚への提示など様々な情報をユーザに提示することで豊かなVR空間を提供できます。また入力系統も音声や体重移動など色々な方法が考えられます。最低限のデバイスで最高のパフォーマンスを引き出すのがミソですが、そのあたりの話は次の機会に。